猫のしっぽ・・・

 Eテレの番組、猫のしっぽ、かえるの手http://www.nhk.or.jp/venetia/に出てくるベニシアさん。50代半ばを過ぎた自分と同年代の彼女は、イギリスで生まれ、今は、京都の大原、大きな庭を持つ、築100年の古民家に一人住まい。

 昨日のO.A.は、もう寒い秋の朝、古い薪ストーブに火を起こすとこから。庭の大きな木の根元に、増えすぎた薬草を掘り返して腐葉土(自作)を撒き、来年の春に咲くように選んだ球根を、背の順に、咲いた時の様子を思い描きながら植える。

 友人が焼いた天然酵母の茶色いパンに、オリーブ油で炒めた、みじん切りにんにくとマッシュルーム、たっぷりのタイム(自作)をなすりつけたトースト。 パンは、ガス台に乗せた金網で焼く。ロンドンの安アパートに初めて住まった時の、ガスのトースターを思い出した。最初は、それがなんなのかさえ見当が付かず、トースターと気付いてもどうやって使うのか察しをつけるまでに随分掛かった。「手間が掛かるけど、こうやって焼くとなんだか美味しいの」と彼女。

 近所の大工さんに、来てもらって、襖の立て付けを直してもらう。ドアで部屋を開け閉めしてきた彼女に、梁が下がり、動きの悪くなったふすまにカンナをかけ、蝋を擦り、物の5分で、復活させた大工仕事は、魔法を見るようだった。雨の漏る屋根の一部も修繕してもらう。親子の大工は、組み木で屋根を直す。ねじくぎを使うと一旦は強く支えあった木が、痩せたり、乾燥したりして辻褄が合わなくなる。木だけで組むと、材料が馴染んで、ゆがみやすきまをうまく綴じていく、と親父。20代と思しい息子は、この家の大黒柱や頑丈な梁が、人の暮らしを、100年もの長い間、支えて、見つめてきたのだと思うと感動します、と。壊れた所は、直して使えばいい。

 家の内外で吸い込む空気が好きだ、と言う。まるで家自体が呼吸してるようだ、と。 台所のハーブや、薬草(どっちも自作)などを入れた缶や小瓶を置く、棚として使っている古い箪笥を、クリスマスまでに少しづつ綺麗にする、という。これだけの番組。http://www.youtube.com/watch?v=G-qOmfP4Dxo←で見られる回もあるね。

 こんな暮らしもあるんだな。日々の小さな喜びや楽しみを見つけ、今ある物を愛で、足りる事を知る。う〜む。身につまされる。