電流があるかぎり・・・

 国産のギターメイカーの台頭は、70年代に目ざましいものがあった。そして、マニアックなモデルを次々に発売していって、評価に足る、中々の完成度を示したのは、フェルナンデス/バーニー:Fernandes/Burnyというメーカーだった。
 80年代も半ばか?フレット上を押えるだけで、発音を始め、その音を止めない限り、内蔵された電池の、電源供給がある限り、伸びた音を維持出来るという、夢のような、革命的な、サスティニアック、後にサステイナーという機構を開発、搭載したモデルを発売するのだった。
 ヴァイオリンなどは、発音時、極小の音で始め、その音を弓使いで、維持することが出来る。そして、その特徴に嫉妬と憧れを持っていた僕は、やがてそれを、いささか姑息な手段で、手に入れることになった。
 生ギター主体の演奏になっていた足立兄弟には、その楽器を手に入れることは、必然とまではいかず、横目で眺めていたのだが、King Crimsonの2トップ、フリップとエイドリアンが、これを自分たちの楽器に採用し、表現の根幹としている事、ギターシンセ使用のパイオニアにして、最高の実践者である彼等の演奏に有用この上ない事に気付くと、なんとしても自分でも手に入れて表現に取り込みたい、という願望が強くなった。