病気で何度も余儀なくされた入院中、経済的な理由で大部屋をお願いする事が多かった。見知らぬ人との一つ部屋での生活。作家であった伯父の文章から表現を拝借すれば、:病室は、食堂であり、応接間であり、手洗いでもある(大意)。そこで発生する、食事の時の音、ゲップ、おなら。我が家では、妻を始め、家人のそれらを聞く事が無い。納豆をかけたご飯など、茶碗の端から、勢い良くかっ込んだ方が美味いと気付いた40ほどくらいまで、お茶漬け以外、茶碗に口が付けられずに居た。大病後、苦労して得た近所の工場仕事の同僚達との昼食、割り箸で食後の歯をせせる、ひけらかしでもするような巨大なゲップの音、うどん、そばなどをすする音。わが父は食後、お茶で口をゆすぎ、それを飲み干してしまう人だった。自分も往復いびき、歯軋りなどで、家内は、とうに別の部屋を寝室としている、というような事を棚に上げて言うのだが…いやだなあ。