bunkamura ダヴィンチ展

 ダヴィンチ展、と言っても、お弟子さんや、フォロワー、モナリザの模写の数々、等が、かき集められ、ダヴィンチ自身の絵画、と言えるのは、展覧会のタイトルになってる、「ほつれ髪の女」だけ。

 モナリザの模写など、興味深く、もしかすると本人の作、と言う物など、ずっと見たかった物もあった。

 「ほつれ髪の女」だけ、とは書いたが、しかし、この小さなデッサンの雄弁さ、存在感、美は、サイズや彩色のなさなどを、超越して響き、他の陳列、言ってしまえば、既知の絵画の記憶を手繰り寄せたとしても、次元の違う、圧倒的なものに思われ、しばし、その前で唖然となって、見入ってしまった。

 もう一つ、ひどく興味を惹かれた物。後年の画家にる、ダヴィンチがモナリザを製作している模様を描いた絵、2作。制作室には、弟子や取り巻き達、大勢の人が見守って、楽師達が演奏さえしている。存命当時から人気があって、或いは、実際にそんな中で描いた事もあったのかもしれない。

 しかし、注目すべきは、ダヴィンチとモデルたる、ジョコンド夫人の位置である。ダヴィンチの前にある、製作中の肖像画は、もちろん現存するあのモナリザ。左肩が前面に出ている姿であるのだが、ダヴィンチと対峙する位置に描かれている夫人は、その正反対、我々の知っているあの絵の姿勢とは、逆向きで座っているのだ!

 手記の記述、デッサン脇に書かれた文字はご存知、右から左にかかれ、表裏逆になっている、鏡文字である。これは、内容を秘すため、ある種の脳疾患など、様々な憶測も飛び出す、氏の癖?習慣?あるいは、修練なのであろうが、まさか、モデルを右左逆に座らせて、描くとは!

 十代の頃、文章で、ダヴィンチは目に移っている物を、そのとおり描いた時に、絵に写し取られた対象物は、その時点で左右が逆転していて、それは本来の姿ではない、と言っていた、らしい。・・・だけどさっ!

 今月の10日に終っちゃうよ。

 1階で行われてる蜷川有紀さんの作品展も素晴らしかった。土屋アンナが主演した、花魁の映画さながらの、ヴィヴィッドな色彩で描かれた、シャガールを連想させる絵画、彫刻、オブジェの数々は、全く独特で、惹かれた。会場にご本人もいらして、なんて美しい方かとも思った。非凡!

 今月と言えば、足立兄弟6/23 四谷doppo doppoだ!