重習( おもならい)秘曲

 AUSIA等における盟友、笛の一噌幸弘は、僕にとって一番の難曲、カサカサを、重習秘曲・・・彼は、おもならえのひきょく、といった具合に発音し、流派でも選ばれた人のみに伝えられる、重要な曲なのだ、と教えてくれ、そう呼んでくれている。

 友人の結婚式で知り合った、ヴァイオリンの太田恵資さんが、AUSIAに加入した'93〜'94年頃、太田さん、兄龍介、一噌君、僕という、4人のラインナップとなり、太田さんは、さらに、インド打楽器の吉見征樹さんの加入を、強く勧めてくれて、程なくして5人の編成になった。

 当時、John Mclaughlin :ジョンマクラフリンのシャクティに、ひどく惹かれていた僕には、インド音楽の中の、自分には未知の考え方、知識は、とても新鮮で、学ぶ事が多く、そう言った要素を、作品に導入する事に夢中になった。

 そんな頃、ああでもないこうでもないと、多くの試行錯誤、メンバーの助言も取り入れて、作り上げたのが、AUSIAのアルバムタイトルともなった、カサカサ。

 その後、バンドからは、一人去り、二人去りして、とうとう一噌君と僕の二人となった'97年頃、二人きり!で臨んだ演奏会で、共演し、知り合ったのが、ヴァイオリンの壷井彰久君。

 各々の責任、負うものは多くなったが、演奏中の自由度は増し、よりタイトになった、トリオのAUSIA。僕自身の闘病によるブランクもあり、人気の壷井、一噌、両君の多忙もあいまって、演奏回数は、かなり減ったが、三人体制のAUSIAは、今も続く。



 3月26日。音や金時でAUSIA。重習秘曲も、勿論、心積もりしている。