どうでもいい事なのだろうが・・・

 毎日の震災被害に関する、心痛む報道に胸をざわつかせている最中、また、耳を蔽いたくなるような、痛ましい事故の報道。

 運転免許取得の為、教習所に通った、30年以上前、テンカン、という病は、自己申告であるが、何時症状が出るのか判らない、この病を持つ者は、運転をする事が出来ません、と聞いた。

 全くお気の毒なことなのだが、2度ほど、その発作を目の当たりににした事があって、その痙攣を伴う、ただ事で無い様子に面食らった。最初は高校時代、駅のプラットフォームでの事。傍らにいた会社員風の男性が。くぐもった声を出し、突然倒れた。白目を剥き、泡を吹く感じで唾液を口中に充満させ、なおかつ、強く歯を噛み合せ、歯軋りをするようにしていた。慌てて、駅員事務所に駆けて行って、駅員を呼び、伴って、その場所に立ち返って見れば、立ち上がり、ハンカチで口の周囲を拭きながら、平然としている男性の姿に、こちらは唖然とし、駅員は、こちらを怪訝な顔で眺めて、その男に、簡単に無事を確かめると、僕には声もかけず、事務所に戻っていった。

 そこで何が起こったのか、釈然とせずに、狐に抓まれた、と言う感じを残し、それが、テンカン、という病の症状である事は、後になって知った。その場に立ち会ったら、ハンカチなど口に入れ、強くかみ合わせる歯で舌を噛み切ってしまわないようにするのだ、とも聞いた。

 あの症状が、運転中に襲ったら、車は暴走、制御する事などできないと判る。

 そしてその事件が報道され、各局のニュースキャスターが、原稿を読む際、僕が慣れ親しみ、こうだと思い込んできた、「持病」という言葉のイントネーションが使われる事は無かった。

 何度か、ここにも書いて来た、地の魚、持病など、テレビで伝えられるイントネーションが、痔の魚、痔病、と聴こえ、違和感がある。

 保険会社のCMでベテラン俳優が、痔病が有っても…、と言い、NHKのキャスターが、痔の魚と、真顔で言うのだ。

 資料の請求は…と続く、彼のベテラン俳優の、「資料」と言うのと同じ発音で持病を発音されたたなら、やきもきする事は無いのだが。

 死語、と言うのが有るが、自分にとっての死音、死読が多く、やるせない。早晩、五、七、五は、ゴ、ナナゴ、ヨンジュウナナ士の討ち入り、キュウジュウキュウ里浜となり、歌舞伎の四代目(ヨダイメ)七代目(シチダイメ)、九代目(クダイメ)等は、ヨン、ナナ、キュウに統一され、七回忌(シチカイキ)は、ナナ回忌と統一されるだろう。

 私と、両親、伯父や叔母たちは、なるべく正しい国語を使おうと腐心していたように思う。そして、マスコミから得られる文章、言葉遣い、発音は、社会の規範になるべきと、自然に思い込んでいた。NHKのニュースで間違った言葉の使い方や発音があったときには画面に向かって、何か物でも投げつけるようにしてののしった。

 将来の夢を一瞬にして奪われた子供たちの、ご冥福をお祈りしたいと思います。お祈りします、では、不足なのだろうか?